ティルデ先生の紹介
はじめまして!
サレルノ近郊の小さな町、パガーニ出身のティルデ先生は、料理をするために生まれてきたような人です。彼女の 家は代々、料理をなりわいとしており、彼女の最初の、そして偉大な料理のマエストロは老舗のパン屋を営んで いたお父さんでした。
彼女は、5歳の頃から、そのお父さんから、小麦粉と水といったシンプルな材料を、パン、 ピッツァ、フォカッチャ、田舎風のパイなどのおいしい料理に変える秘訣を学んできました。
やがて、 彼女はお姉さんとともに、町の真ん中に小さなトラットリア、“ジョルジョ・セスト”を開き、今も母から 娘へと代々、受け継がれる伝統的なナポリ料理を、お客さまに提供しています。そのトラットリアでは、パンから デザートまで、すべて厳選した食材だけを使い、肩の凝らない手作りの料理を味わうことができます。
その後、ディルデ先生は、このトラットリアで培った豊富な経験を活かし、お料理の先生としてのキャリアを スタートさせました。
以来、彼女は、10 年以上、イタリアの主婦たちに、“家庭料理”を教えてきましたが、そんな中で、私たちは常々、 彼女の経験豊富な知識を、イタリアだけでなく海外の方にもぜひ伝えていきたいと考えてきました。こうして念願かない、昨年から、日本の皆様に向けて、ティルデ先生の料理教室を開くことができました。
ティルデ先生の陽気な性格を映した、その笑顔やジェスチャーも、また料理教室のムードを盛り上げ、料理をいっそう おいしくしてくれることでしょう。
ティルデ先生とイタリア料理を学んでみては如何でしょうか?
昨年、ティルデ先生は、かねてからの念願かなって来日を果たし、雑誌『クロワッサン』の特別号の招きを 受けて、東京のスタジオで3日にわたり、撮影のための料理を行いました。この日本での10 日間の貴重な経験は、 先生の大切な宝物となりました。 2010年の9月に雑誌「クロワッサンプレミアム」の人気特集が「私のパスタはマンマの味」として本になりました。
この本には、パスタを盛り上げる前菜やメイン料理も合わせて全30のレシピ、さらに、数々のおいしい料理を育んだ、イタリアの現地取材も入っています。
「イタリア本場の味は、ハーブやスパイスや入手困難な材料を使い、時間をかけて作るもの」というイメージがある方はビックリするはずです。 ティルデ先生のレシピは、実に簡単でしかもおいしいですよ!
たとえばトマトソースはオリーブオイルを熱したら、トマト缶を入れ、強火でがんがん水分を飛ばし、砂糖と塩を加えて煮詰めるだけです。ニンニク も唐辛子も入れません。「本当にこれでいいの?」と半信半疑で実行してみると、実にフレッシュでおいしいソースができ上がるのです。素材はシンプルですが、質にはこだわるのです。手順は簡単せすが、はずしてはいけない決定的なコツがあります。
そんなティルデ先生のレシピは、手間ひまかけるのは善、そうでなければ手抜きと自嘲する、生真面目な日本人体質を根本からゆさぶる、とても刺激的な体験です。 ぜひ、ティルデ先生のレシピで美味しい料理を作ってみて下さい!
雑誌「クロワッサンプレミアム」
2010/01/20発売号 (201003号)
マガジンハウス発行
「私のパスタはマンマの味」